今年もフランスにまつわる様々な書籍を紹介してまいりましたが、
今年最後になる今回は画集を紹介いたします。
「ton paris」
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夫が数年前にどこかで一目ぼれしたこちらの画集、
1908年生まれの茂田井 武という画家の画帳です。
茂田井 武は中学卒業後、画家を志しますが美術学校の入学は叶わず、
21歳の時に「写生旅行」と称し旅に出ました。
シベリア鉄道でヨーロッパに入り、
パリに到着する少し前の車窓から始まる絵日記のような画帳がこの「ton paris」です。
この画集は2010年に第1刷が発行されていて、
それは80年前の画帳を再現したもの、になります。
「茂田井自身が手にしていた当時のイメージを今に蘇らせるため、
判型をほぼ原寸とし、印刷にも細心の配慮をした」と解説に記されています。
原画は展示のために本の形では現存していないそうです。
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カバーを外すと、こんな感じです。
80年前のものみたいですよね!!
カフェやお店屋さん、遊園地、日曜日の家族・・・
とてもほっとする色調でパリの日常が描き綴られています。
物音や会話が聞こえてきそうなほど当時の息づかいを感じることができます。
こちらの画帳に描かれているもののほとんどは、
パリ17区サン・フェルディナン広場(Place St.Ferdinand)と
デバルカデール通り(Rue du Debarcadere)のひとコマ。
それは、ほんの200メートルの通りとそれほど特色のない広場だそうです。
そこで生まれ育ち毎日見ていたら何てことのない風景でも、
21歳の茂田井には描きたいものばかりだったのでしょうね・・・
とってもすてきな画帳です!
画集は、全ての作品に解説が書かれていて、さらに当時の様子がよく分かりますよ。
茂田井は戦後、童画家として数々の絵本を創作しますが、持病の悪化で48歳の若さで亡くなりました。
いつの日か、群馬県桐生市 大川美術館に展示されているという原画も観てみたいです。
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(裏表紙)
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